海鳥成鳥に対するクマネズミとドブネズミの捕食習性の違い

小笠原諸島父島列島に属する東島と南島では、アナドリ(Bulweria bulwerii)よりも大きいクマネズミ(Rattus rattus)だけが、これを捕食する傾向を示した。一方、北海道の根室半島沖にあるユルリ島とモユルリ島に住むドブネズミ(R.norvegicus)の場合には、幼獣もウトウ(Cerorhinca monocerata)を捕食した。以上のような海鳥に対するクマネズミとドブネズミにおける捕食習性上の違いは、ドブネズミが本質的に動物質を好むことと攻撃的であることの表れであると推測される。ただし、本来植物質を好むクマネズミがなぜアナドリを捕食したのか、また植食性傾向の強い母島列島の...

Full description

Bibliographic Details
Main Authors: 矢部 辰男, 港 隆一, 橋本 琢磨
Format: Report
Language:Japanese
Published: 首都大学東京小笠原研究委員会 2019
Subjects:
Online Access:https://tokyo-metro-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=7714
http://hdl.handle.net/10748/00011093
https://tokyo-metro-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=7714&item_no=1&attribute_id=18&file_no=1
Description
Summary:小笠原諸島父島列島に属する東島と南島では、アナドリ(Bulweria bulwerii)よりも大きいクマネズミ(Rattus rattus)だけが、これを捕食する傾向を示した。一方、北海道の根室半島沖にあるユルリ島とモユルリ島に住むドブネズミ(R.norvegicus)の場合には、幼獣もウトウ(Cerorhinca monocerata)を捕食した。以上のような海鳥に対するクマネズミとドブネズミにおける捕食習性上の違いは、ドブネズミが本質的に動物質を好むことと攻撃的であることの表れであると推測される。ただし、本来植物質を好むクマネズミがなぜアナドリを捕食したのか、また植食性傾向の強い母島列島のドブネズミは海鳥に対してどのような捕食行動を示すのか、今後の解析が必要である。