レーザートモグラフによる極域雪氷コアの微細堆積構造の解析

極域の氷河・氷床内陸部では、降り積もった雪は気象条件を反映した変質を受け、堆積構造をもつことになる。表面の堆積層は、後からの降雪の荷重により圧密氷化するが、氷化後もこの堆積構造は氷中に含まれる気泡の不均一性として保存されている。従って、氷化後の雪氷コアの気泡形状・数・分布を測定することにより、微細堆積構造が明らかになり、過去の気候推定の手がかりが得られることになる。しかし、気泡情報を高精度で迅速に測定する方法は確立されておらず、微細堆積構造の解析は不可能であった。そこで本研究は、簡便に微細堆積構造解析が可能な装置の開発を行い、さらにこの装置を用いてグリーンランドNGRIP地点で採取された雪氷コ...

Full description

Bibliographic Details
Main Authors: 高田 守昌, タカタ モリマサ, Morimasa TAKATA
Format: Thesis
Language:Japanese
Published: 1999
Subjects:
Online Access:https://ir.soken.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=803
http://id.nii.ac.jp/1013/00000803/
Description
Summary:極域の氷河・氷床内陸部では、降り積もった雪は気象条件を反映した変質を受け、堆積構造をもつことになる。表面の堆積層は、後からの降雪の荷重により圧密氷化するが、氷化後もこの堆積構造は氷中に含まれる気泡の不均一性として保存されている。従って、氷化後の雪氷コアの気泡形状・数・分布を測定することにより、微細堆積構造が明らかになり、過去の気候推定の手がかりが得られることになる。しかし、気泡情報を高精度で迅速に測定する方法は確立されておらず、微細堆積構造の解析は不可能であった。そこで本研究は、簡便に微細堆積構造解析が可能な装置の開発を行い、さらにこの装置を用いてグリーンランドNGRIP地点で採取された雪氷コアの微細堆積構造構造を明らかにし、その雪氷学的特性を考察した。 堆積構造測定のため、光を氷に照射し氷と空気の屈折率の違いにより生じる光の散乱から気泡を検出するレーザートモグラフ装置を作成した。本装置は、レーザー光を試料側面から入射し散乱光を試料上面からビデオカメラで撮影する方式とした。装置は、レーザー光源とビデオカメラを同時に等速度で移動させながら撮影し、デジタルビデオで気泡からの散乱光を記録するものである。デジタルビデオで記録された情報を動画としてパソコン上に取り込み、この動画を構成している全画像から画像処理により堆積構造を解析した。 まず、この装置を用い氷中の微細な気泡情報を抽出するため、測定条件および画像処理方法について検討した。長さ90mm(x方向)、幅45mm(y方向)、厚さ25mm(z方向)に切り出した氷試料を用い、レーザートモグラフによる測定を行なうとともに、片薄片観察でこの氷中に存在する気泡の三次元の分布を測定した。この両者の気泡分布を比較し、その一致率からレーザートモグラフによる画像処理方法の検討を進めた。テストに用いた氷試料の密度は870kg・m-3であり10 ...