札幌市東区に現れたヒグマ (Ursus arctos)から見出された日本海裂頭条虫 (Dibothriocephalus nihonkaiensis)

Article 2021年6月18日、ヒグマ(Ursus arctos)1個体が北海道札幌市の住宅街に侵入するという事例が発生し、人身被害をもたらした後駆除された。この個体の消化管から得られた蠕虫試料を形態および遺伝子解析を行なったところ、日本海裂頭条虫(Dibothtriocephalus nihonkaiensis)と同定された。1990年代中盤から今日までに道内各地で捕殺されたヒグマ58個体から9個体で条虫類が得られたが、その産地は斜里町あるいは羅臼町であり、札幌のような道央部ではこれまで未確認であった。おそらく、このヒグマ個体は知床半島と同様に、第2中間宿主であるサケ類を常食できる生息...

Full description

Bibliographic Details
Main Authors: 大杉, 祐生, 伊藤, 哲治, 佐藤, 喜和, 岡田, 東彦, HIRATA, Haruyuki, 平田, 晴之, 浅川, 満彦, ASAKAWA, Mitsuhiko
Format: Other/Unknown Material
Language:Japanese
Published: 北海道獣医師会 2021
Subjects:
Online Access:https://rakuno.repo.nii.ac.jp/record/6738/files/2021-a-31_asakawa.pdf
Description
Summary:Article 2021年6月18日、ヒグマ(Ursus arctos)1個体が北海道札幌市の住宅街に侵入するという事例が発生し、人身被害をもたらした後駆除された。この個体の消化管から得られた蠕虫試料を形態および遺伝子解析を行なったところ、日本海裂頭条虫(Dibothtriocephalus nihonkaiensis)と同定された。1990年代中盤から今日までに道内各地で捕殺されたヒグマ58個体から9個体で条虫類が得られたが、その産地は斜里町あるいは羅臼町であり、札幌のような道央部ではこれまで未確認であった。おそらく、このヒグマ個体は知床半島と同様に、第2中間宿主であるサケ類を常食できる生息環境を反映したものと考えられた。 journal article