海氷および南極アイスコアにおける微生物叢の解析と抗菌薬耐性遺伝子の検出に関する研究

酪農学園大学 博士(獣医学) Thesis 抗菌薬が人医療および獣医療において広く用いられるのに伴い、薬剤耐性菌の出現と増加が公衆衛生学上の問題として世界的に懸念されている。また、薬剤耐性菌がもつ耐性遺伝子は、その多くが非病原性の環境細菌に由来するとみられていることから、現在蔓延している耐性遺伝子は、環境細菌から病原性細菌へと伝達されてから拡散したものと考えられている。これに加えて、合成抗菌薬に対する耐性遺伝子を染色体上にもつ細菌が報告されている点や、永久凍土層や洞窟などの隔離条件下からも耐性菌と耐性遺伝子が検出されている点から、耐性菌と耐性遺伝子は人為的な抗菌薬の使用による選択圧の有無に関わ...

Full description

Bibliographic Details
Main Author: Okubo, Torahiko
Format: Other/Unknown Material
Language:English
Published: 2015
Subjects:
Online Access:https://rakuno.repo.nii.ac.jp/record/3800/files/Okubo_youshi.pdf
https://rakuno.repo.nii.ac.jp/record/3800/files/Okubo_hakuron.pdf
http://hdl.handle.net/10659/3753
https://rakuno.repo.nii.ac.jp/records/3800
Description
Summary:酪農学園大学 博士(獣医学) Thesis 抗菌薬が人医療および獣医療において広く用いられるのに伴い、薬剤耐性菌の出現と増加が公衆衛生学上の問題として世界的に懸念されている。また、薬剤耐性菌がもつ耐性遺伝子は、その多くが非病原性の環境細菌に由来するとみられていることから、現在蔓延している耐性遺伝子は、環境細菌から病原性細菌へと伝達されてから拡散したものと考えられている。これに加えて、合成抗菌薬に対する耐性遺伝子を染色体上にもつ細菌が報告されている点や、永久凍土層や洞窟などの隔離条件下からも耐性菌と耐性遺伝子が検出されている点から、耐性菌と耐性遺伝子は人為的な抗菌薬の使用による選択圧の有無に関わらず、自然環境中に存在しているものと予見されている。本研究では、上記の仮説を補完しうる知見を収集するため、絶対的抗菌薬非存在環境として南極のアイスコアを選択し、その中に含まれる耐性遺伝子の検出を目標とした。まず第1章では、氷サンプルの安全かつ十分なクリーニング方法を立ち上げるため、南氷洋およびオホーツク海で採材した海氷をサンプルとして、氷の洗浄および氷からのDNA抽出方法を検討した。また、海氷中の細菌叢を16S ...