ベルーハ氷河で掘削されたアイスコア中の花粉DNA分析の進捗状況

融合プロジェクトに所属していた昨年度までに、アイスコア中の化石花粉を全ゲノム増幅法によりDNA分析するための手法を開発した。現在、より古い花粉でのDNA分析に取り組んでいる。これまで研究に使用してきた、ロシア・アルタイ山脈ベルーハ氷河で採取されたアイスコであるが、今年度に入り、ようやく年代決定の論文が出版された(Aizen et al., Journal of Glaciology, 2016)。そして、最深部(171.3 m深)付近は10950BCと報告された。これにともない、前回発表した1600年代の花粉は470年前の花粉となった。現在、最深部近くの氷試料から花粉の抽出を試みている。最深部...

Full description

Bibliographic Details
Main Author: 中澤 文男
Format: Conference Object
Language:Japanese
Published: 2016
Subjects:
Online Access:https://nipr.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=13583
http://id.nii.ac.jp/1291/00013518/
Description
Summary:融合プロジェクトに所属していた昨年度までに、アイスコア中の化石花粉を全ゲノム増幅法によりDNA分析するための手法を開発した。現在、より古い花粉でのDNA分析に取り組んでいる。これまで研究に使用してきた、ロシア・アルタイ山脈ベルーハ氷河で採取されたアイスコであるが、今年度に入り、ようやく年代決定の論文が出版された(Aizen et al., Journal of Glaciology, 2016)。そして、最深部(171.3 m深)付近は10950BCと報告された。これにともない、前回発表した1600年代の花粉は470年前の花粉となった。現在、最深部近くの氷試料から花粉の抽出を試みている。最深部の層から花粉は一切見られないが、ダストは多く含まれている。これは、年代決定通り、氷期の試料であることを示唆しているかもしれない。約4873年前の層(164.146-164.186m深)から見つかったモミ属花粉については全ゲノム増幅に成功した。増幅は良好であり、葉緑体上の様々な領域で塩基配列の解読に成功した。また、配列は全てモミ属のものであることも確認した。現在、種を決定するためのプライマーの選定作業に取り組んでいる。 Polar Meteorology and Glaciology Group seminar / 気水圏コロキウム 日時:11月9日(水)10:00-10:50 場所:C301(3階セミナー室)