Aspects of psychosocial stressors in wintering-over at Japanese Antarctic station

本稿では,南極探検を行った第一世代,南極観測を 開始し厳しい住環境の中で活動を続けてきた第二世 代,快適な住環境下で観測活動を続ける第三世代の南 極での越冬生活における心理社会的ストレスの諸相に ついて,各世代の日本の越冬隊経験者による手記を基 に考察した。第三世代に特徴的なものとして,「対人 ストレスの比重の大きさ」,「人間関係の近さからくる 慣れや甘え」,「単調な日常の閉そく感」を指摘し,各 世代に共通するストレスを,「隊内の人間関係の摩擦」 「固定された集団の閉鎖性」「対外的な摩擦」「孤立の ストレス」「個人内に生じる変調」に大別して提示した。 特に,越冬生活における「受け入れがたい価値...

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Bibliographic Details
Main Authors: 鳴岩 伸生, Naruiwa Nobuo, なるいわ のぶお, 川部 哲也, 加藤 奈奈子, 1000040583117, Kato Nanako, かとう ななこ, 佐々木 麻子, 桑原 知子, Kuwabara Tomoko, くわばら ともこ
Language:Japanese
Published: 京都光華女子大学京都光華女子大学短期大学部 2022
Subjects:
Online Access:http://hdl.handle.net/10935/0002005967
https://koka.repo.nii.ac.jp/records/1131
https://nara-wu.repo.nii.ac.jp/records/2005967
Description
Summary:本稿では,南極探検を行った第一世代,南極観測を 開始し厳しい住環境の中で活動を続けてきた第二世 代,快適な住環境下で観測活動を続ける第三世代の南 極での越冬生活における心理社会的ストレスの諸相に ついて,各世代の日本の越冬隊経験者による手記を基 に考察した。第三世代に特徴的なものとして,「対人 ストレスの比重の大きさ」,「人間関係の近さからくる 慣れや甘え」,「単調な日常の閉そく感」を指摘し,各 世代に共通するストレスを,「隊内の人間関係の摩擦」 「固定された集団の閉鎖性」「対外的な摩擦」「孤立の ストレス」「個人内に生じる変調」に大別して提示した。 特に,越冬生活における「受け入れがたい価値観との 共存」や「人の気も知らないで」というネガティヴ感 情の言語化と,「些細な対人ストレスの日常的反復」 という構造的な側面への指摘は,長期閉鎖環境におけ る心理社会的ストレスを考えるうえで有用な視点と考 えられた。 journal article