細孔中に生成したメタンハイドレートの熱分析およびメタン安定同位体分析

海底堆積物中に存在する珪藻のような,大きな比表面積を有するサブミクロンオーダーの細孔は,メタンハイドレートの生成・解離過程に影響を及ぼすと考えられる.本研究では,シリカゲルおよび珪藻土の細孔中にメタンハイドレートを人工的に生成し,生成時のメタン安定同位体分析を実施するとともに,熱分析により解離過程を観察した.細孔中のメタンハイドレートがメタンガスと氷に分解する際の解離熱は,バルクのメタンハイドレートより約15%小さかった.また,メタンハイドレート生成時の炭素・水素安定同位体分別について調べたところ,ハイドレート相のδDはガス相と比較して5.5±0.8‰小さく,バルクのメタンハイドレートに関する...

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Bibliographic Details
Main Authors: 太田, 有香, 八久保, 晶弘, 竹谷, 敏
Language:Japanese
Published: 日本雪氷学会 2016
Subjects:
Online Access:https://kitami-it.repo.nii.ac.jp/record/8594/files/太田ほか(2016)雪氷.pdf
Description
Summary:海底堆積物中に存在する珪藻のような,大きな比表面積を有するサブミクロンオーダーの細孔は,メタンハイドレートの生成・解離過程に影響を及ぼすと考えられる.本研究では,シリカゲルおよび珪藻土の細孔中にメタンハイドレートを人工的に生成し,生成時のメタン安定同位体分析を実施するとともに,熱分析により解離過程を観察した.細孔中のメタンハイドレートがメタンガスと氷に分解する際の解離熱は,バルクのメタンハイドレートより約15%小さかった.また,メタンハイドレート生成時の炭素・水素安定同位体分別について調べたところ,ハイドレート相のδDはガス相と比較して5.5±0.8‰小さく,バルクのメタンハイドレートに関する先行研究(Hachikubo et al., 2007)の結果と一致した.一方,ハイドレート相のδ13C はガス相と比較して1.1±0.6‰大きくなり,バルクのメタンハイドレートとは異なる結果を得た. journal article