能登半島里川におけるカワヤツメに関する地域文化とその漁獲量の推移

能登半島における絶滅危惧種カワヤツメの過去からの分布状況と利用文化、漁獲量、減少要因を明らかにするため、能登半島を流れる11 河川流域において地域住民へアンケート調査と、漁師への聞き取り調査および文献調査を行った。この結果、2000 年以前は9 河川で捕獲・生息が確認されていたが、2000 年以降は2 河川しか確認できなくなっていた。最も捕獲利用されていたのが、町野川であり、カワヤツメはカンコと呼ばれる特殊な漁具を使って捕獲されており、捕獲されたヤツメはかば焼きなどで利用され、春の風物詩として地域文化を担っていた。漁獲量は1980 年以降急激に激減しており、その原因として河川改修による影響を挙...

Full description

Bibliographic Details
Main Authors: 荒川 裕亮, 志摩 優介, 柳井 清治
Format: Report
Language:Japanese
Published: 石川県立大学 2018
Subjects:
Online Access:https://ishikawa-pu.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=130
http://id.nii.ac.jp/1593/00000113/
https://ishikawa-pu.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=130&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1
Description
Summary:能登半島における絶滅危惧種カワヤツメの過去からの分布状況と利用文化、漁獲量、減少要因を明らかにするため、能登半島を流れる11 河川流域において地域住民へアンケート調査と、漁師への聞き取り調査および文献調査を行った。この結果、2000 年以前は9 河川で捕獲・生息が確認されていたが、2000 年以降は2 河川しか確認できなくなっていた。最も捕獲利用されていたのが、町野川であり、カワヤツメはカンコと呼ばれる特殊な漁具を使って捕獲されており、捕獲されたヤツメはかば焼きなどで利用され、春の風物詩として地域文化を担っていた。漁獲量は1980 年以降急激に激減しており、その原因として河川改修による影響を挙げた人が多かった。治水のために行われた河川改修工事はカワヤツメの産卵環境や幼生の生息環境を悪化させた可能性がある。今後の展望としては、能登半島の地域資源であるカワヤツメを保全するための取り組みや、独自の文化を継承していくため地域の子ども達に対して環境教育や啓蒙活動を行っていくことが望まれる。