Hénon-Heiles系におけるカオスのパワースペクトルのピーク構造

ハミルトン系のカオスの研究でよく取り上げられるHénon-Heiles系のカオス軌道の統 計的性質について調べた。非線形性が最も強いパラメータE=1/6における4つの力学変数x, y,Px, Py について自己相関関数を数値的に求めた結果、4つの力学変数x, y,Px, Pyに関する自己相 関関数はすべて振動しながら0に減衰することがわかった。また、 xとy,PxとPy の自己相関関数 が一致することがわかった。 次に、yとPyのパワースペクトルを高速フーリエ変換(FFT)により求めた。その結果、y(t)のパワースペクトルIy(ω)には、ω0=0.000, ω1=1.002, ω2=0.797...

Full description

Bibliographic Details
Main Author: 石崎 龍二
Format: Report
Language:Japanese
Published: 福岡県立大学 2008
Subjects:
IPY
Online Access:https://fukuoka-pu.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=249
http://id.nii.ac.jp/1268/00000236/
https://fukuoka-pu.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=249&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1
Description
Summary:ハミルトン系のカオスの研究でよく取り上げられるHénon-Heiles系のカオス軌道の統 計的性質について調べた。非線形性が最も強いパラメータE=1/6における4つの力学変数x, y,Px, Py について自己相関関数を数値的に求めた結果、4つの力学変数x, y,Px, Pyに関する自己相 関関数はすべて振動しながら0に減衰することがわかった。また、 xとy,PxとPy の自己相関関数 が一致することがわかった。 次に、yとPyのパワースペクトルを高速フーリエ変換(FFT)により求めた。その結果、y(t)のパワースペクトルIy(ω)には、ω0=0.000, ω1=1.002, ω2=0.797に、Py(t)のパワースペクトル Ipy (ω)には、ω′0=1.002, ω′1=0.799に振動数ピークがみられた。 パワースペクトルIy(ω)のω=ω0付近のピーク構造は、ローレンチアンの近似式とよく一致し、ω=ω1とω=ω2付近のピーク構造は、非対称ローレンチアンの近似式とよく一致した。パワースペクトルIy(ω)のω=ω0付近のローレンチアンは、自己相関関数Cy(t)では指数関数減衰に対応している(減衰定数γ0=0.01657、相関時間τ0=1/γ0≃60.35)。パワースペクトルIy(ω)のω=ω1とω=ω2付近の非対称ローレンチアンは、自己相関関数Cy(t)では振動型の指数関数 減衰に対応している(減衰定数γ 1=0.02764、相関時間τ 1=1/γ 1≃36.18、減衰定数γ2=0.02844、 相関時間τ2=1/γ2≃35.16)。 パワースペクトルIpy(ω)のω=ω′0とω=ω′1付近のピーク構造は、非対称ローレンチアンの近 似式とよく一致した。パワースペクトルIpy(ω)のω=ω′0とω=ω′1付近の非対称ローレンチアン は、自己相関関数Cpy(t)では振動型の指数関数減衰に対応している(減衰定数γ′0=0.02524、相関時間τ′0=1/γ′0≃39.62、減衰定数γ′1=0.02955、相関時間τ′1=1/γ′1≃33.84)。