地球環境時代の日本の南極政策の課題
地球温暖化が国際社会の取り組む喫緊の課題である中,南極のもつ科学的存在意義,重要性が高まっている。その南極は,1961年の発効した南極条約を中心に,複数のレジームとともに南極ガバナンスが安定的に維持されてきた。今日,条約が作成された当時とは,国際政治の力関係も大きく変化しており,南極観測の長年の歴史を有したが故に南極条約の原署名国ともなり,協議国のステータスを維持してきた日本の立ち位置も変化している。本稿では,日本と南極の関わりを歴史的に概観するとともに,「南極海洋生物資源保存条約」の成立過程と特徴を考察し,南極ガバナンス全体の問題点と課題に着目する。南極が,南極条約のそもそもの前文にある“全...
Main Authors: | , , |
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Format: | Other/Unknown Material |
Language: | Japanese |
Published: |
法学新報編集委員会
2022
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Subjects: | |
Online Access: | https://chuo-u.repo.nii.ac.jp/records/2000612 |
Summary: | 地球温暖化が国際社会の取り組む喫緊の課題である中,南極のもつ科学的存在意義,重要性が高まっている。その南極は,1961年の発効した南極条約を中心に,複数のレジームとともに南極ガバナンスが安定的に維持されてきた。今日,条約が作成された当時とは,国際政治の力関係も大きく変化しており,南極観測の長年の歴史を有したが故に南極条約の原署名国ともなり,協議国のステータスを維持してきた日本の立ち位置も変化している。本稿では,日本と南極の関わりを歴史的に概観するとともに,「南極海洋生物資源保存条約」の成立過程と特徴を考察し,南極ガバナンス全体の問題点と課題に着目する。南極が,南極条約のそもそもの前文にある“全人類の利益”に供するものであり続けられるのか,ともすれば,環境後進国と揶揄される日本が,生物資源の“利用”を行う締約国の一つとしてもその真価が今こそ問われている。 departmental bulletin paper |
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