An ecological study on human-bear conflicts in Urahoro, Hokkaido

University of Tokyo (東京大学) 博士(農学) ヒグマ(Ursus arctos)は,ヨーロッパ,アジア,北アメリカの森林を中心に,ツンドラから砂漠地域にいたる広い範囲に分布している.本種は食肉目クマ科の大型獣で,その行動圏は数千平方キロにも及ぶこともある.このため,ヒグマの安定した生存には広い生息地が必要であるが,その分布域は人間による開発で1800年代半ば以降急速に縮小している.一方ヒグマは,ときに人間に危害を加える危険な存在でもあるため,有害獣として駆除され,世界中で個体数が減少傾向にある.このためすでに地域的絶滅が進行している欧米では積極的な保護が行われている. 日...

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Main Authors: 佐藤, 喜和, 9695
Language:English
Published: 2002
Subjects:
Online Access:https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/record/4247/files/K-117230-1.pdf
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spelling ftunivtokyo:oai:repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp:00004247 2023-05-15T18:42:21+02:00 An ecological study on human-bear conflicts in Urahoro, Hokkaido 北海道浦幌地域におけるヒグマによる被害の発生機構に関する生態学的研究 佐藤, 喜和 9695 2002-03-29 application/pdf https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/record/4247/files/K-117230-1.pdf https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/record/4247/files/K-117230-2.pdf eng eng 甲17230 https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/record/4247/files/K-117230-1.pdf https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/record/4247/files/K-117230-2.pdf 654.8 2002 ftunivtokyo 2022-12-23T03:39:23Z University of Tokyo (東京大学) 博士(農学) ヒグマ(Ursus arctos)は,ヨーロッパ,アジア,北アメリカの森林を中心に,ツンドラから砂漠地域にいたる広い範囲に分布している.本種は食肉目クマ科の大型獣で,その行動圏は数千平方キロにも及ぶこともある.このため,ヒグマの安定した生存には広い生息地が必要であるが,その分布域は人間による開発で1800年代半ば以降急速に縮小している.一方ヒグマは,ときに人間に危害を加える危険な存在でもあるため,有害獣として駆除され,世界中で個体数が減少傾向にある.このためすでに地域的絶滅が進行している欧米では積極的な保護が行われている. 日本では,ヒグマ(U. a. yesoensis)は北海道のみに生息している.1800年代後半までは北海道全体に生息していたが,明治以降の開発により,生息地は縮小分断化した.現在,大きく5地域に分断されていると考えられており,そのうち1つは日本版レッドデータブックにおいて,絶滅の恐れのある地域個体群に指定されている. この現状に対し,1990年代に入ると狩猟や駆除制度の改正など,ヒグマを保護する方針が採られてきた.しかし,現在でも人身被害や,農業被害,市街地への出没などの被害が続いているため,その対策として有害駆除が行われている.また10月?1月には狩猟が認められており,両者をあわせて年平均250頭が捕獲されている. 北海道におけるヒグマによる被害は,1990年代以降特に増加していると指摘されており,その原因として,個体数の回復や,ヒグマの人馴れ,農地への依存度の増加,森林環境の悪化などの可能性が指摘されている.被害増加への対策としては,ほとんどが駆除による対策だけに頼っている.しかし,今あるヒグマ地域個体群を保全し,かつ被害を減らすためには,駆除に頼るだけの対策を見直し,科学的に管理する必要がある.そのためにはヒグマの個体数動向の把握や生態の解明,有効な被害対策の提言が不可欠である. これまで北海道におけるヒグマの研究は,ヒグマの生息密度が高い渡島半島地域と知床半島地域において行われてきた.しかし,近年の被害増加は,このようなヒグマの高密度地域に限らず,各地で報告されている.にもかかわらず高密度地域以外では,ヒグマの生態調査はほとんど行われていなかった. 北海道東部では1990年代に入ってエゾシカ(Cervus nippon yesoensis)の個体数が急増しており,農林業被害が深刻な問題となっている.また,森林生態系においても,樹皮はぎや,林床植生の破壊,幼樹食害などが発生している.一方,シカの狩猟残滓の放置は大型海ワシ類の内陸部への進出を促し,シカ残滓内に残る鉛弾で鉛中毒が起きていることが報告されている.また,ヒグマがシカを採食する割合が増加したという報告もある.このことから,近年の北海道東部地域におけるシカ個体数増加とヒグマによる被害増加の同時性には,何らかの関係があることが予想される. 以上のような背景から本論文は,近年ヒグマによる被害が増加しており,同時にエゾシカの個体数が増加している北海道東部を主な対象地域とし,ヒグマによる被害の発生機構を明らかにし,ヒグマ地域個体群の存続と被害減少に必要なことがらを検討した.本論文の構成は次の通りである. 全道のヒグマ捕獲個体の胃内容分析によって,全道的被害の傾向を明らかにする.そのために,大量の試料を効率的に分析する方法の検討を行い(第2章),その方法を用いて北海道内の3つのヒグマ地域個体群について食性を明らかにする(第3章).次に,北海道東部地域における典型的被害増加地域である浦幌町において過去の調査記録との比較により,同町におけるヒグマの生息密度と食性がいかに変化したかを明らかにし,被害増加の原因が個体数の増加にあるのか,それとも食性の変化にあるのかを明らかにする(第4章).そして,電波発信器を用いた追跡によりヒグマの生息地利用様式を明らかにし,食性との対応を検討する(第5章).またDNA個体識別法により個体数推定と農地侵入個体の識別を行う(第6章).そして,生活の変化をもたらしたと考えられる環境要因の変化(森林・シカ・農業形態)を整理し,ヒグマの近年の行動の変化をもたらしている原因を考える(第7章).最後に,これらの結果から示唆される今後の管理方針について提案する(第8章). ... Other/Unknown Material Ursus arctos The University of Tokyo: UT Repository
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佐藤, 喜和
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description University of Tokyo (東京大学) 博士(農学) ヒグマ(Ursus arctos)は,ヨーロッパ,アジア,北アメリカの森林を中心に,ツンドラから砂漠地域にいたる広い範囲に分布している.本種は食肉目クマ科の大型獣で,その行動圏は数千平方キロにも及ぶこともある.このため,ヒグマの安定した生存には広い生息地が必要であるが,その分布域は人間による開発で1800年代半ば以降急速に縮小している.一方ヒグマは,ときに人間に危害を加える危険な存在でもあるため,有害獣として駆除され,世界中で個体数が減少傾向にある.このためすでに地域的絶滅が進行している欧米では積極的な保護が行われている. 日本では,ヒグマ(U. a. yesoensis)は北海道のみに生息している.1800年代後半までは北海道全体に生息していたが,明治以降の開発により,生息地は縮小分断化した.現在,大きく5地域に分断されていると考えられており,そのうち1つは日本版レッドデータブックにおいて,絶滅の恐れのある地域個体群に指定されている. この現状に対し,1990年代に入ると狩猟や駆除制度の改正など,ヒグマを保護する方針が採られてきた.しかし,現在でも人身被害や,農業被害,市街地への出没などの被害が続いているため,その対策として有害駆除が行われている.また10月?1月には狩猟が認められており,両者をあわせて年平均250頭が捕獲されている. 北海道におけるヒグマによる被害は,1990年代以降特に増加していると指摘されており,その原因として,個体数の回復や,ヒグマの人馴れ,農地への依存度の増加,森林環境の悪化などの可能性が指摘されている.被害増加への対策としては,ほとんどが駆除による対策だけに頼っている.しかし,今あるヒグマ地域個体群を保全し,かつ被害を減らすためには,駆除に頼るだけの対策を見直し,科学的に管理する必要がある.そのためにはヒグマの個体数動向の把握や生態の解明,有効な被害対策の提言が不可欠である. これまで北海道におけるヒグマの研究は,ヒグマの生息密度が高い渡島半島地域と知床半島地域において行われてきた.しかし,近年の被害増加は,このようなヒグマの高密度地域に限らず,各地で報告されている.にもかかわらず高密度地域以外では,ヒグマの生態調査はほとんど行われていなかった. 北海道東部では1990年代に入ってエゾシカ(Cervus nippon yesoensis)の個体数が急増しており,農林業被害が深刻な問題となっている.また,森林生態系においても,樹皮はぎや,林床植生の破壊,幼樹食害などが発生している.一方,シカの狩猟残滓の放置は大型海ワシ類の内陸部への進出を促し,シカ残滓内に残る鉛弾で鉛中毒が起きていることが報告されている.また,ヒグマがシカを採食する割合が増加したという報告もある.このことから,近年の北海道東部地域におけるシカ個体数増加とヒグマによる被害増加の同時性には,何らかの関係があることが予想される. 以上のような背景から本論文は,近年ヒグマによる被害が増加しており,同時にエゾシカの個体数が増加している北海道東部を主な対象地域とし,ヒグマによる被害の発生機構を明らかにし,ヒグマ地域個体群の存続と被害減少に必要なことがらを検討した.本論文の構成は次の通りである. 全道のヒグマ捕獲個体の胃内容分析によって,全道的被害の傾向を明らかにする.そのために,大量の試料を効率的に分析する方法の検討を行い(第2章),その方法を用いて北海道内の3つのヒグマ地域個体群について食性を明らかにする(第3章).次に,北海道東部地域における典型的被害増加地域である浦幌町において過去の調査記録との比較により,同町におけるヒグマの生息密度と食性がいかに変化したかを明らかにし,被害増加の原因が個体数の増加にあるのか,それとも食性の変化にあるのかを明らかにする(第4章).そして,電波発信器を用いた追跡によりヒグマの生息地利用様式を明らかにし,食性との対応を検討する(第5章).またDNA個体識別法により個体数推定と農地侵入個体の識別を行う(第6章).そして,生活の変化をもたらしたと考えられる環境要因の変化(森林・シカ・農業形態)を整理し,ヒグマの近年の行動の変化をもたらしている原因を考える(第7章).最後に,これらの結果から示唆される今後の管理方針について提案する(第8章). ...
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