第39次南極地域観測隊越冬経過報告1998-1999

第39次南極地域観測越冬隊(第39次越冬隊)は越冬隊長渋谷和雄ほか38名が昭和基地で越冬し, 第V期5カ年計画の2年次にあたる観測・設営活動を行った。98年5月12日の発電機停止による基地全停電, 98年6月3-5日のA級プリザードにより若干支障が出たが, 概ね順調な基地観測だった。今次隊による新たな基地観測としては気象定常による総合自動気象観測装置(AMOS-2)地上系の導入, 宙空系による高速オーロラフォトメーター観測, 全天単色イメージャー観測, 地学系のVLBI観測の開始などがある。「しらせ」到着時より海氷の流出が進み, 98年4月にはリュツォ・ホルム湾の3分の2,オングル海峡全域の海...

Full description

Bibliographic Details
Main Authors: 渋谷 和雄, Kazuo Shibuya
Format: Report
Language:Japanese
Published: 国立極地研究所 2001
Subjects:
Online Access:https://nipr.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=9166
http://id.nii.ac.jp/1291/00009166/
https://nipr.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=9166&item_no=1&attribute_id=18&file_no=1
Description
Summary:第39次南極地域観測越冬隊(第39次越冬隊)は越冬隊長渋谷和雄ほか38名が昭和基地で越冬し, 第V期5カ年計画の2年次にあたる観測・設営活動を行った。98年5月12日の発電機停止による基地全停電, 98年6月3-5日のA級プリザードにより若干支障が出たが, 概ね順調な基地観測だった。今次隊による新たな基地観測としては気象定常による総合自動気象観測装置(AMOS-2)地上系の導入, 宙空系による高速オーロラフォトメーター観測, 全天単色イメージャー観測, 地学系のVLBI観測の開始などがある。「しらせ」到着時より海氷の流出が進み, 98年4月にはリュツォ・ホルム湾の3分の2,オングル海峡全域の海氷が流出したため, 野外行動の開始は7月中旬だったが, 地震, 重力・GPS観測, 海洋観測, ペンギンセンサス等多くの沿岸調査旅行を実施した。また, 内陸旅行として4カ月に及ぶやまと・ベルジカ旅行を実施して4100個以上の隕石を採取したほかおよそ60tの氷を融解し, 粒径10μm以上の宇宙塵等固体物質を回収した。さらに, H72及びドームふじ観測拠点において, それぞれ73m, 108mの浅層ボーリングを実施するとともに, 各層深さでのフィルン・エアサンプリングを行った。設営作業としては夏オペ残作業として旧医務室, 旧通信棟及びコルゲート通路の解体を行って跡地を整地した。また, 太陽光発電装置を制御盤に配線し, 発電出力を基地400V幹線に接続することにより最大出力20kWにて常用ディーゼル発電機との並列運転が可能になった。さらに電力計の全棟設置工事を行ったので, 各棟ごとの電力負荷が把握できるようになった。そのほか, 空調ダクト・配水管の調整, 受水槽の清掃, 包丁まな板殺菌庫の設置, レントゲン機器の修理, 生ゴミ処理機の新設による廃棄物処理の徹底, 防火設備の点検, 旅行用装備品の点検・補修, などこまめな対応により基地設備の維持向上に努めた。98年7月の南極環境保護議定書の成立により, 野焼きが禁止されたほか, 不用廃棄物の持ち帰りの徹底が要求されている。今次隊も氷上輸送, 空輸を合わせた持ち帰り物資の総量が252tにのぼるなど従来の交代期の作業に較べ質・量ともに決定的に増大している。 The 39th Japanese Antarctic Research Expedition (JARE-39) wintering party consisted of 39 members (leader K. Shibuya), and conducted observational and logistical programs under the framework of the Vth five-year JARE programme. Although some malfunctioning occurred in the station observation instruments during the power failure on 12 May 1998,and a heavy blizzard during 3-5 June 1998. the observations generally continued without serious problems. Newly started observations included the Automatic Meteorological Observation System-2 (AMOS-2) by the meteorology program, high-rate sampling aurora photometer and two-channel monochromatic all sky imager observations by the upper atmospheric physics program, and Very Long Baseline Interferometry (VLBI) observations by the earth science program. As sea ice in Lutzow-Holm Bay and Ongul Strait was blown away by April 1998,the start of field activity was delayed to mid-July 1998,but many field teams for seismic, gravity and Global Positioning System (GPS) observations, and for oceanographic and penguin-census studies took ...