ALOS シリーズの後方散乱係数を用いた東シベリア永久凍土帯における水域・植生変化域の時空間変動の検出

application/pdf 連続的な永久凍土が広範囲に分布する東シベリアは、地球規模の気候変動の影響を強く受けている。2005 年から 2008 年にかけて、東シベリアのレナ川中流域(中央ヤクーチア)では、夏季降水量・冬季降雪量の増加が確認された。夏季降水量の増加は、永久凍土表層の融解を伴って活動層を厚くするとともに、活動層内の土壌水分量の大幅な増加をもたらした。その結果、土壌の湿潤化によって湛水状態が続いた地表面上に生育する北方林(主にカラマツ)の生育環境を悪化させ、森林の荒廃が進行した。この水域の拡大・森林の荒廃を引き起こした永久凍土荒廃現象の最近までの時空間変動を明らかにするために、...

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Bibliographic Details
Main Authors: 大森, 直登, オオモリ, ナオト
Other Authors: 飯島, 慈裕, 51947
Format: Other/Unknown Material
Language:Japanese
Published: 三重大学 2023
Subjects:
Online Access:http://hdl.handle.net/10076/00021223
https://mie-u.repo.nii.ac.jp/record/15608/files/2022MB0015.pdf
https://mie-u.repo.nii.ac.jp/records/15608
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author 大森, 直登
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description application/pdf 連続的な永久凍土が広範囲に分布する東シベリアは、地球規模の気候変動の影響を強く受けている。2005 年から 2008 年にかけて、東シベリアのレナ川中流域(中央ヤクーチア)では、夏季降水量・冬季降雪量の増加が確認された。夏季降水量の増加は、永久凍土表層の融解を伴って活動層を厚くするとともに、活動層内の土壌水分量の大幅な増加をもたらした。その結果、土壌の湿潤化によって湛水状態が続いた地表面上に生育する北方林(主にカラマツ)の生育環境を悪化させ、森林の荒廃が進行した。この水域の拡大・森林の荒廃を引き起こした永久凍土荒廃現象の最近までの時空間変動を明らかにするために、ALOS/ALOS-2 搭載の合成開口レーダ PALSAR/PALSAR-2の後方散乱係数を用いて経年的な水域・植生変化域図の作成を行った。作成した水域・植生変化域図から、2007-2009 年の湿潤年において森林の荒廃に分類されたエリアが最も高く、全体の 43.3%を占めた。また、湿潤年以降、2017 年までには森林の回復に分類されたエリアが最も高く、全体の29.2%を占め、回復傾向にあることが分かった。東シベリア・ヤクーツクにおける夏季降水量と冬季最大積雪深の経年変化から湿潤年以降、突出した降水量・積雪量の増加はないことが、近年の回復傾向に寄与していると考えられる。一方で、湿潤年以降も継続して森林荒廃が進行しているエリアが検出された。このエリアに関して、地形的特徴を明らかにするために、AW3D の DSM を用いて地形解析を行った。DSM の解析対象範囲図から北西方向に向かって標高が低くなっており、これは変化域図において継続的に森林荒廃している範囲と一致していた。解析対象範囲全体の DSM 標高の頻度分布の中央値は 122m、2007-2009 年の森林荒廃エリアの頻度分布の中央値は 113m、2009-2017 年の森林荒廃エリアの頻度分布図の中央値は 117m であった。このことから、森林荒廃が継続して進行しているエリアは地形的に低く、集水地形であることが分かった。そのため、降水や融雪水が流入し、湿潤年以降も地表面の湛水が続き、森林荒廃が継続して進行しているものと考えられた。以上の一連の結果から、ALOS シリーズの後方散乱係数を用いた水域・植生変化域の検出に関して、経年的な解析の有効性が示された。合成開口レーダ搭載の ALOS シリーズは、今後 ALOS-4 が 2023 年度に打ち上げ予定であり、引き続き永久凍土荒廃のモニタリングとして ALOS・ALOS-2・ALOS-4 三世代の衛星を用いた経年的な解析が必要不可欠となる。 共生環境学専攻地球環境学講座 フューチャー・アース学研究室 44p thesis
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genre permafrost
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institution Open Polar
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publishDate 2023
publisher 三重大学
record_format openpolar
spelling ftmieuniv:oai:mie-u.repo.nii.ac.jp:00015608 2025-04-06T15:03:25+00:00 ALOS シリーズの後方散乱係数を用いた東シベリア永久凍土帯における水域・植生変化域の時空間変動の検出 Detecting spatio-temporal variations in water and vegetation change areas in the East Siberian permafrost zone using backscatter coefficient of the ALOS series 大森, 直登 オオモリ, ナオト 飯島, 慈裕 51947 2023-03 application/pdf http://hdl.handle.net/10076/00021223 https://mie-u.repo.nii.ac.jp/record/15608/files/2022MB0015.pdf https://mie-u.repo.nii.ac.jp/records/15608 jpn jpn 三重大学 http://hdl.handle.net/10076/00021223 リモートセンシング 後方散乱係数 永久凍土 森林荒廃 DSM VoR 2023 ftmieuniv 2025-03-10T10:58:13Z application/pdf 連続的な永久凍土が広範囲に分布する東シベリアは、地球規模の気候変動の影響を強く受けている。2005 年から 2008 年にかけて、東シベリアのレナ川中流域(中央ヤクーチア)では、夏季降水量・冬季降雪量の増加が確認された。夏季降水量の増加は、永久凍土表層の融解を伴って活動層を厚くするとともに、活動層内の土壌水分量の大幅な増加をもたらした。その結果、土壌の湿潤化によって湛水状態が続いた地表面上に生育する北方林(主にカラマツ)の生育環境を悪化させ、森林の荒廃が進行した。この水域の拡大・森林の荒廃を引き起こした永久凍土荒廃現象の最近までの時空間変動を明らかにするために、ALOS/ALOS-2 搭載の合成開口レーダ PALSAR/PALSAR-2の後方散乱係数を用いて経年的な水域・植生変化域図の作成を行った。作成した水域・植生変化域図から、2007-2009 年の湿潤年において森林の荒廃に分類されたエリアが最も高く、全体の 43.3%を占めた。また、湿潤年以降、2017 年までには森林の回復に分類されたエリアが最も高く、全体の29.2%を占め、回復傾向にあることが分かった。東シベリア・ヤクーツクにおける夏季降水量と冬季最大積雪深の経年変化から湿潤年以降、突出した降水量・積雪量の増加はないことが、近年の回復傾向に寄与していると考えられる。一方で、湿潤年以降も継続して森林荒廃が進行しているエリアが検出された。このエリアに関して、地形的特徴を明らかにするために、AW3D の DSM を用いて地形解析を行った。DSM の解析対象範囲図から北西方向に向かって標高が低くなっており、これは変化域図において継続的に森林荒廃している範囲と一致していた。解析対象範囲全体の DSM 標高の頻度分布の中央値は 122m、2007-2009 年の森林荒廃エリアの頻度分布の中央値は 113m、2009-2017 年の森林荒廃エリアの頻度分布図の中央値は 117m であった。このことから、森林荒廃が継続して進行しているエリアは地形的に低く、集水地形であることが分かった。そのため、降水や融雪水が流入し、湿潤年以降も地表面の湛水が続き、森林荒廃が継続して進行しているものと考えられた。以上の一連の結果から、ALOS シリーズの後方散乱係数を用いた水域・植生変化域の検出に関して、経年的な解析の有効性が示された。合成開口レーダ搭載の ALOS シリーズは、今後 ALOS-4 が 2023 年度に打ち上げ予定であり、引き続き永久凍土荒廃のモニタリングとして ALOS・ALOS-2・ALOS-4 三世代の衛星を用いた経年的な解析が必要不可欠となる。 共生環境学専攻地球環境学講座 フューチャー・アース学研究室 44p thesis Other/Unknown Material permafrost MIUSE - Mie University Scholarly E-collection
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