オホーツク海の海氷と潮汐を介した物質輸送モデリング研究
北太平洋亜寒帯西部の親潮海域では,春季に植物プランクトンの大規模なブルームが発生し,世界でも有数の海洋一次生産量が高い海域として知られている.この海域は硝酸塩等の主栄養塩が枯渇しない高栄養塩低クロロフィル海域であるため,この高い基礎生産の律速因子として微量金属元素である鉄の影響が注目されている.本報告では,海氷生成や潮汐混合過程等のオホーツク海に特有の物質輸送プロセスを考慮した生物地球化学数値シミュレーション研究で,新たに見出された北太平洋亜寒帯域における表層の鉄とリン酸塩の季節から経年スケールの変動機構に関する研究成果について紹介する.また,今後予想される基礎生産量の変遷について考察する....
Main Authors: | , , |
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Format: | Article in Journal/Newspaper |
Language: | Japanese |
Published: |
低温科学第82巻編集委員会
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Subjects: | |
Online Access: | http://hdl.handle.net/2115/91800 https://doi.org/10.14943/lowtemsci.82.103 |
Summary: | 北太平洋亜寒帯西部の親潮海域では,春季に植物プランクトンの大規模なブルームが発生し,世界でも有数の海洋一次生産量が高い海域として知られている.この海域は硝酸塩等の主栄養塩が枯渇しない高栄養塩低クロロフィル海域であるため,この高い基礎生産の律速因子として微量金属元素である鉄の影響が注目されている.本報告では,海氷生成や潮汐混合過程等のオホーツク海に特有の物質輸送プロセスを考慮した生物地球化学数値シミュレーション研究で,新たに見出された北太平洋亜寒帯域における表層の鉄とリン酸塩の季節から経年スケールの変動機構に関する研究成果について紹介する.また,今後予想される基礎生産量の変遷について考察する. The western subarctic North Pacific including the Oyashio region is well known as substantially high primary production area in the world, which attributes to the occurrence of massive spring bloom events. The macronutrient is not depleted even in summer in this region (the high nutrient and low chlorophyll region; HNLC), and thus as the limitation factor, the availability of iron and its decoupling process with macronutrient has been focused. In this report, we present our recent studies of biogeochemical model simulation focused on the role of sea ice formation and tidal mixing processes in the Sea of Okhotsk, and show the new findings on seasonal to interannual variations of macronutrient and micronutrient in the western subarctic North Pacific and its influence on primary production. |
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