『アイヌ語ロシア語辞典』のアイヌ語話者に関する情報

本稿の目的は、『アイヌ語ロシア語辞典』(Dobrotvorskij 1875)の中のアイヌ語話者の居住地や経歴を明らかにすることである。アイヌ語話者に関するドブロトヴォルスキーの記述は断片的であり、大半の話者の居住地は明らかではない。同時代の史料と突き合わせることで、話者の居住地やその移動を明らかにできるだけでなく、アイヌ語資料としての辞書の可能性を高めることができる。ドブロトヴォルスキーと親しかったカシトゥルというアイヌ男性を例にすれば、同時代の他の史料から、1870 年代に至っても久春内の近くコミシラロポ(小茂白)で家族と暮らしていたことが確認できるが、カシトゥルの長女と長男は、1860...

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Bibliographic Details
Main Author: 阪口, 諒
Format: Article in Journal/Newspaper
Language:Japanese
Published: 北海道大学大学院文学研究院北方研究教育センター
Subjects:
380
Online Access:http://hdl.handle.net/2115/80898