南大洋における人為起源二酸化炭素の取り込み
海洋は,これまで大気中に排出されてきた人為起源CO2 の約30%を取り込み,温暖化の抑制に貢献してきた.このうちの40%は南大洋で吸収されたと見積もられている.人為起源CO2 はどのように海洋に取り込まれるのか,吸収量はどのように推定されているのか,南大洋はなぜ大きな吸収源となっているのか,その吸収量はどのように変動しているのか,といった疑問と現在の知見に関して,最近の研究のレビューを含めて紹介する.南大洋における吸収量の見積もりは用いる推定方法によって大きく異なっており,このことは,南大洋の海洋循環とCO2 循環の理解が不十分であることを示している.これらの定量的解明が将来のCO2 収支の予...
Main Author: | |
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Format: | Article in Journal/Newspaper |
Language: | Japanese |
Published: |
低温科学第76巻編集委員会
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Online Access: | http://hdl.handle.net/2115/70326 https://doi.org/10.14943/lowtemsci.76.57 |
Summary: | 海洋は,これまで大気中に排出されてきた人為起源CO2 の約30%を取り込み,温暖化の抑制に貢献してきた.このうちの40%は南大洋で吸収されたと見積もられている.人為起源CO2 はどのように海洋に取り込まれるのか,吸収量はどのように推定されているのか,南大洋はなぜ大きな吸収源となっているのか,その吸収量はどのように変動しているのか,といった疑問と現在の知見に関して,最近の研究のレビューを含めて紹介する.南大洋における吸収量の見積もりは用いる推定方法によって大きく異なっており,このことは,南大洋の海洋循環とCO2 循環の理解が不十分であることを示している.これらの定量的解明が将来のCO2 収支の予測において重要である. The Ocean has taken up about 30% of anthropogenic CO2 released into atmosphere. The Southern Ocean has played a major role in this uptake. Here I review current understanding of what determines the amount of anthropogenic CO2 to enter into the Southern Ocean, how we can estimate storage of anthropogenic CO2 in the ocean, and how the uptake has been changing with time. Large discrepancies between estimates of anthropogenic CO2 in the Southern Ocean indicate the need of better quantification of physical and biogeochemical processes in this ocean. |
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