サハリン油田開発に伴う原油汚染事故を想定したバイオレメディエーション技術の可能性

2008年ロシア・サハリン島の油田開発は商業段階に入った。北海道沿岸域はサハリン油田開発を原因とする油井の暴噴、パイプラインやタンカーなど船舶の事故による汚染の危険に曝されている。石油により汚染された海域、海岸域の回復にはさまざまな対応が必要である。本総説では、これまで起こった主にタンカーの石油流出事故とそれに対する生物学的処理法( バイオレメディエーション:BR)による対応、特に北海道の冷涼な気候とBRについてその有用性を考慮しながら紹介する。北海道オホーツク海沿岸では既に石油汚染除去を想定したバイオスティムレーション法(BS)が試験的に実施されている。BSは汚染現場に栄養塩などを与え土着の...

Full description

Bibliographic Details
Main Authors: 坂口, 直史, Mohd Taha, Ahmad Iskandar Bin Haji, 牧, 秀明, 濱田, 誠一, 森川, 正章, 奥山, 英登志
Format: Article in Journal/Newspaper
Language:Japanese
Subjects:
464
Online Access:http://hdl.handle.net/2115/43822
Description
Summary:2008年ロシア・サハリン島の油田開発は商業段階に入った。北海道沿岸域はサハリン油田開発を原因とする油井の暴噴、パイプラインやタンカーなど船舶の事故による汚染の危険に曝されている。石油により汚染された海域、海岸域の回復にはさまざまな対応が必要である。本総説では、これまで起こった主にタンカーの石油流出事故とそれに対する生物学的処理法( バイオレメディエーション:BR)による対応、特に北海道の冷涼な気候とBRについてその有用性を考慮しながら紹介する。北海道オホーツク海沿岸では既に石油汚染除去を想定したバイオスティムレーション法(BS)が試験的に実施されている。BSは汚染現場に栄養塩などを与え土着の微生物の石油分解能を賦活化する方法である。一方、筆者らはBSと、別に取得した石油分解能力の高い細菌を汚染現場に投与するバイオオーグメンテーション法(BA)の特長を併せ持つ原地性バイオオーグメンテーション法(ABA)の有効性を検討している。サハリン油田が原因で汚染事故が起きた場合のABAの実用の可能性について論じる。