オホーツクにおける海底堆積物コアの海氷起源堆積物(漂流岩屑)を用いた過去の海氷変動の復元

海底堆積物には過去の地球の様々な変動が記録されている.現在の地球環境については直接観測することによって把握することができるが,長い時間スケールの環境変動を把握するためには,堆積物コアなどの記録の環境プロクシーを駆使して研究する必要がある.過去の海氷の変動は漂流岩屑のような海氷プロクシーを使って復元することができる.オホーツク海において衛星観測およびセディメントトラップ観測によって,海氷を起源とする漂流岩屑の堆積プロセスを明らかにした.漂流岩屑は春 に海氷が融解するとき,砂以上のサイズの粒子群として沈積する.オホーツク海底から得られた3本の堆積物コアの解析から過去10万年間の海氷の変動が明らかに...

Full description

Bibliographic Details
Main Author: 坂本, 竜彦
Format: Article in Journal/Newspaper
Language:Japanese
Published: 北海道大学低温科学研究所
Subjects:
Online Access:http://hdl.handle.net/2115/20459
Description
Summary:海底堆積物には過去の地球の様々な変動が記録されている.現在の地球環境については直接観測することによって把握することができるが,長い時間スケールの環境変動を把握するためには,堆積物コアなどの記録の環境プロクシーを駆使して研究する必要がある.過去の海氷の変動は漂流岩屑のような海氷プロクシーを使って復元することができる.オホーツク海において衛星観測およびセディメントトラップ観測によって,海氷を起源とする漂流岩屑の堆積プロセスを明らかにした.漂流岩屑は春 に海氷が融解するとき,砂以上のサイズの粒子群として沈積する.オホーツク海底から得られた3本の堆積物コアの解析から過去10万年間の海氷の変動が明らかになった.海氷は2万~4万年周期の氷期に増加し,さらに数千年規模で拡大縮小を繰り返す.オホーツク海氷拡大イベントは地球規模の寒冷イベントに同調し,北極域の大気循環の強化がその要因である. Ice-rafted debris (IRD) from sediment traps, surfical sediments, and sediment cores were investigated to reconstruct the extent of sea-ice cover in the Okhotsk Sea over the past 100 kyr. Seasonal IRD buried within the sediments during and after the melting of sea-ice in the spring consists of silt-and sand-sized terrigenous particles. The spatial distribution of IRD within surficial sediments clearly corresponds to the average state of extent of sea-ice coverage. Sea ice expanded to a maximum extent during glacial periods,although the cover of sea ice was not perennial. Okhotsk Sea Sea-ice Expansion (OSIE) events, which are recognized as abrupt millennialscale peaks in IRD content, have occurred 13 times during the past 100 kyrs. These events were amplified in magnitude during glacial periods. The significant modification of polar atmospheric circulation in the northern hemisphere is a key process in explaining these OSIE events. 2章 千年~10万年スケールの気候復元とモデリング