モンゴル帝国時代のサハリン島の史料に見える方位のずれについて
モンゴル帝国・元朝時代の漢語史料やペルシア語史料において、中央アジアに 関する記述の中に、時計回りに 90 度ずれた方位感覚を示す例が見られる。その理 由について、もともとはモンゴル語で前後左右と表現されたものが、漢語に翻訳 されたときにそれぞれ南北東西とされ、史書にそのまま記載された結果、実際の 方位とはずれたという説が発表された。 筆者は、サハリン島に関する漢語史料のなかに、実際とは反時計回りに 90 度ず れた例があることに気づいた。その理由は、サハリン島からアムール河下流域に ある元朝の拠点を見た方向、つまり西を前としたからであろう。アイヌの居住域 であるサハリン島の南部はモンゴル語で...
Main Authors: | , |
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Format: | Other/Unknown Material |
Language: | Japanese |
Published: |
函館大学
2022
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Subjects: | |
Online Access: | https://hakodate-u.repo.nii.ac.jp/record/399/files/大学論究54-1_01中村.pdf |
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author | 中村, 和之 ナカムラ, カズユキ |
author_facet | 中村, 和之 ナカムラ, カズユキ |
author_sort | 中村, 和之 |
collection | Hakodate University Repository |
description | モンゴル帝国・元朝時代の漢語史料やペルシア語史料において、中央アジアに 関する記述の中に、時計回りに 90 度ずれた方位感覚を示す例が見られる。その理 由について、もともとはモンゴル語で前後左右と表現されたものが、漢語に翻訳 されたときにそれぞれ南北東西とされ、史書にそのまま記載された結果、実際の 方位とはずれたという説が発表された。 筆者は、サハリン島に関する漢語史料のなかに、実際とは反時計回りに 90 度ず れた例があることに気づいた。その理由は、サハリン島からアムール河下流域に ある元朝の拠点を見た方向、つまり西を前としたからであろう。アイヌの居住域 であるサハリン島の南部はモンゴル語で左と表現される。モンゴル語の左が漢語 に翻訳された際に東とされたため、実際の方位と誤りが生じたのである。このよ うに北東アジアに関する史料によっても、モンゴルの方位の概念は東西南北では なく、前後左右であったことが裏づけられた。 departmental bulletin paper |
format | Other/Unknown Material |
genre | Sakhalin |
genre_facet | Sakhalin |
id | fthakodateuniv:oai:hakodate-u.repo.nii.ac.jp:00000399 |
institution | Open Polar |
language | Japanese |
op_collection_id | fthakodateuniv |
op_relation | 函館大学 https://www.hakodate-u.ac.jp 函館大学論究 1 54 14 0286-6137 https://hakodate-u.repo.nii.ac.jp/record/399/files/大学論究54-1_01中村.pdf |
publishDate | 2022 |
publisher | 函館大学 |
record_format | openpolar |
spelling | fthakodateuniv:oai:hakodate-u.repo.nii.ac.jp:00000399 2025-01-17T00:33:16+00:00 モンゴル帝国時代のサハリン島の史料に見える方位のずれについて Deviation in orientation due the Mistranslation of Historical Documents of Sakhalin Island during the Mongol Empire 中村, 和之 ナカムラ, カズユキ 2022-10 application/pdf https://hakodate-u.repo.nii.ac.jp/record/399/files/大学論究54-1_01中村.pdf jpn jpn 函館大学 函館大学 https://www.hakodate-u.ac.jp 函館大学論究 1 54 14 0286-6137 https://hakodate-u.repo.nii.ac.jp/record/399/files/大学論究54-1_01中村.pdf サハリン島 モンゴル帝国 元朝 方位 アイヌ AM 2022 fthakodateuniv 2023-07-26T20:09:46Z モンゴル帝国・元朝時代の漢語史料やペルシア語史料において、中央アジアに 関する記述の中に、時計回りに 90 度ずれた方位感覚を示す例が見られる。その理 由について、もともとはモンゴル語で前後左右と表現されたものが、漢語に翻訳 されたときにそれぞれ南北東西とされ、史書にそのまま記載された結果、実際の 方位とはずれたという説が発表された。 筆者は、サハリン島に関する漢語史料のなかに、実際とは反時計回りに 90 度ず れた例があることに気づいた。その理由は、サハリン島からアムール河下流域に ある元朝の拠点を見た方向、つまり西を前としたからであろう。アイヌの居住域 であるサハリン島の南部はモンゴル語で左と表現される。モンゴル語の左が漢語 に翻訳された際に東とされたため、実際の方位と誤りが生じたのである。このよ うに北東アジアに関する史料によっても、モンゴルの方位の概念は東西南北では なく、前後左右であったことが裏づけられた。 departmental bulletin paper Other/Unknown Material Sakhalin Hakodate University Repository |
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